「崎谷さんなんでしょ、大丈夫?」
肩を痛いくらいに掴まれて、はっと顔を上げると。
目の前にはいつの間に現われたのか、七瀬の顔があった。七瀬はすごく心配そうな顔してあたしを見ている。
「どうしたの?どこか痛い?……すごく顔色悪いけど、」
ずっとずっと後悔を積み重ねていたあの時のことを思い出して、まるであたしはバッドトリップしたみたいになっていた。
背中が嫌な汗で湿って。
内臓をかき回されたような、吐き気をもよおす不快感で目尻には涙が滲んでいた。
こんな姿、誰にも見せたくないのに。
弱いあたしなんて、誰にも知られたくないのに。
そのためにずっと『ぼっち』をしていたのに。
七瀬に何か言わなきゃと思うのに、舌がもつれて言葉がうまく出てこない。
無理やりかすれた声で「平気」と言うと、七瀬は険しい顔になった。
「そんな今にも死にそうな顔して平気なわけがないだろ」
ちいさな子供を叱るような、親が心から子供を心配してるときのような口調だ。
馬鹿みたい。あたしなんかのことを本気で案じるなんて、七瀬は人が好すぎる。
「気分が悪いんだったら、すこし休もう」
気遣わしげな顔する七瀬は支えるようにあたしの肩を抱いて、館内に設置されたベンチまで連れて行ってくれた。


