可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。


渚は遅刻でもしたのか、ちょっと不機嫌そうな顔でこっちの広間に歩いてくる。



「ね、もしよかったら、一緒に遊びに行かない?今日休みなの?」



すぐそばで佐々木が何かを言っているけれど、言葉が耳に入ってこない。

渚の姿だけが目に迫ってくる。





-----------渚。私服、悪くないじゃん。





渚はパーカーとデニムにすこしゴツめなバックルと首からシルバーのアクセを下げてるくらいで、すごくラフな恰好だ。

シンプルだけど、だからこそ余計に飾り立てる必要がない渚の顔立ちとか体型とか、ルックスの良さが際立つようなスタイルだった。


渚に目を奪われたのはあたしだけじゃないようで、女子の感嘆のようなため息が聞こえてくる。





長い脚でずんずん進んでくる渚は、『班長』だからてっきりクラス委員の山根か塩沢のとこに点呼に行くんだろうと思いきや、佐々木を突飛ばすようにヤツとあたしの間に強引に割って入ってきて、怒ったように言ってくる。



「ったく、どこいたんだよ」



渚は背中に追いやった佐々木なんて、眼中にないとでもいうようにあたしをにらんでくる。



「おまえ待たせてんじゃねぇよ」



それから渚はすこし声を張って、「山根、ウチの班の点呼、チェック入れといてくれるか?」と言うと、すこし離れた場所で山根が、なぜか赤い顔してこくこく頷く。

山根が持っていたクリップボードに何かを書き込むのを見届けると、渚は大きな手であたしの腕を掴んだ。



「さっさと行くぞ」