「たまにはいいんじゃね?買い物とか、こういうフツーっぽいことすんのも」
「…………渚は。女を自分好みの姿に改造するのって、たのしいんだ?」
思ってもみなかった言葉らしく、渚が一瞬手を止める。
それからくだらないことを聞いたとばかりに鼻を鳴らした。
「性格も改造できりゃ、もっと楽しいかもな。おまえ俺に中身改造される気あんのか?」
「……あるわけねぇだろ、バカ」
渚の皮肉にそう言って返すと。
「ま、俺はおまえのそういう本音全開なとこ、悪くねぇなって思うけどな。ときどき本気でねじまがった性格叩いて伸ばして矯正してやりたくなるけど」
そういって軽く受け流して、渚はまたヒール付きのサンダルが並んだディスプレイに視線を戻す。
意外に真剣な横顔。
なんでだろう。
今渚から、ババアにされたことと同じようなことをされてるはずなのに。
全然好みじゃないピンヒールを「履いてみろ」って渡されて、ちょっとめんどくさいし、つまんないって思ってるのに。
あの頃みたいなみじめさとか、今は感じてない。
意に沿わないことをしてる不本意さとか退屈さが、そんなに嫌じゃない。
そんな不思議な感覚を味わっている。


