あたしを振り回すババアの言動に耐え切れなくなったあたしが、『もう着るものも持つ物も、自分のことは自分で決めたい』と言っても、
『あなたは特別な女の子なのよ。他の子には似合わなくても、ニカちゃんには相応しいものだから。あなたのことは私がいちばんよく分かっているんだから、私に任せておきなさい』ってたしなめられた。
言葉の上っ面だけはあたしのためを思ったような言い方をして、ババアは嫌がるあたしの反論を全部封じ込めていた。
学校で『嫌みったらしいブランド女』とか『成金』とか言われて、あたしが仲間はずれにされようとも嫌われようとも、『そんなのはニカちゃんよりきれいでも可愛くもない女の子たちの、負け犬の遠吠えなんだから。気にしないの』とババアはお構いなし。
自分の非を認めることはついになかった。
ババアがそこまで意固地になるのも、理由があるのだとパパから聞いたことがあった。
ババアは貧乏だったり片親だったり、不遇だった子供時代のことを強烈にコンプレックスに思ったまま大人になってしまった人で。
だからこそ、自分が子供の頃叶わなかった望みをありったけあたしに投影しているんだって。
『何不自由なく暮らす、白鳥家のお嬢様』っていう自分の理想をあたしに強いることで、あのオバサンはとても気持ちのいい独り善がりな自己満足に浸っているってわけ。
経済的にはとんでもなく恵まれてるとも思うし、お金に苦労することがない生活も有難いと思ってる。
けど。
ババアにいくら贅沢にお金を掛けてもらおうと、それは愛情なんかではなく、あたしにとっては拷問でしかなかった。
だってそれはまるで、あたし自身がお金のために自分の意思を売り飛ばしてるような。
ババアに『人形』としてお金で買われてるような。
そんな気分になるから。
「………渚は楽しい?」
ショップバッグを開けてさっきあたしが買ったワンピを見ながら、それに合うサンダルを選んでる渚に、あたしは聞いていた。


