◇ ◆ ◇
まだババアと同じ家に住んでいた頃。
ババアはときどききまぐれに学校まで派手な外車で乗り付けてきて、そのままあたしを買い物に連れ出した。
放課後には部活とか生徒会の仕事とか、中学生のあたしにもいろいろ都合があるのに、そんなことなんてお構いなし。
あたしが無理だと断ろうとすると『ニカちゃんは私のことが嫌になったのね』と泣き落としをしてきたり。
『先生に言って部活も役員も辞めさせてやる』なんて脅しをかけてきたり。
あたしを自分の思い通りに屈服させようとするババアの、その子供じみたヒステリーに疲れて、結局あたしは楽な方へ……つまりは黙ってババアに従うことを選ぶようになっていた。
『ニカちゃんはしあわせね。まだ中学生なのにこんな高いお洋服を買ってもらえるんだから』
買い物に行くと、毎回ババアに恩着せられるようなことを言われて。
高価なだけで全然あたしの好みじゃない服やバッグ、そればかりか文具や小物までババアに買い与えられた。しかも中学生が気安く着たり使ったりするには相応しくない、クラスメイトや先輩たちから反感買うくらいハイブランドなものをだ。
体操着を入れるバッグとかペンケースとか、学校で使うものくらいは友達が使ってるような、普通の雑貨屋で売ってるようなものを使いたいと言っても、ババアは許してくれなかった。
買い物が終わると、必ずネイルサロンかエステかヘアーサロンのどこかに連れて行かれるのも苦痛だった。ババアはリラックスしていても、あたしはいくら施術するひとが女の店員でも、他人に自分の体をあちこちいじられるのが嫌で、気が休まる間もなかった。
あの人があたしのためにと言ってやってくれたことは、とにかくそれを望まないあたしにとっては、ただの拷問だった。


