可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。



「…………まだ何か?」



『LiLiCA』で買い物を終わらせても、渚は帰ろうとしない。

またあたしを誘導するように、半歩先を歩いてく。



「渚、どっか寄りたいとこでもあるの?」

「違ぇよ。服だけ買っても意味ねぇだろ。『この服に合うバッグがない』とか『はいてく靴がないから行けない』とか。思いつく言い訳、とりあえず全部潰してくから」

「だからHRデー行かねぇし、あたしがそういうこと欠席の言い訳にするわけないでしょ」



あたしの言葉を無視して、渚はミュールとかサンダルとかが店頭にならんだシューズショップに入っていく。



「とりあえず靴でも見とくか。どうせおまえ、金余ってんだろ?こういうときにいろいろ買っとけ。見てやるから」

「……………渚暇人なの?」



渚は乗り気じゃないあたしに、サンダルとかミュールとかあれこれ選んで店員みたいにすすめてくる。

『LiLiCA』にいたときもそうだけど、女の子向けのお店に入って行っても、渚は全然物怖じしない。

むしろ慣れた感じで堂々としてる。






ほんと、渚はあたし以外の女と一緒にいるときの感覚、引き摺りすぎだ。



きっといつもこうやってリア先輩の買い物にあれこれ付き合ってあげてるんだって、そんなことに気付かされる。

カノジョに自分好みのものを着せたいって思って、リア先輩にもよく服を選んであげてるんだろう。



渚はそんなつもりないんだろうけど、なんだか遠まわしに仲の良さをノロケられてる気分。





けど渚がモテるのも分かる気がする。
単純に容姿がいいだけじゃなくて、渚は細かいところによく気が回る。


普通の16歳の男なら、服を選んだことに満足して、トータルコーディネイトを考えるとか、なかなかそんなことまで気が回らなそうなのに。

ファッションっていうのが服一枚だけ買っただけじゃ完成しないこともよく理解してて。そのうえで、まだあたしに付き合おうとしてる。





女の買い物なんて、男にとっては退屈で我慢比べに等しい拷問だろうに。



女のあたしだって、ババアに毎回毎回長い時間ショッピングにつき合わされるのは拷問だった。