「俺に選ばせときゃ、間違いねーだろ?」
腕を引かれて試着室から出されたあたしは、渚に体を反転させられる。
全身が映る試着室の大きな鏡の中には、見慣れない恰好をしたあたしがいた。
ワンピースはまるく膨らんだ袖口と、細く絞られたウェストが可憐な印象で。
膝上10センチのミニのフレアスカートも、まるで下にパニエを穿いてるときのようにふんわり広がってドレスみたいな可愛らしいシルエットになってる。
女の子感全開だ。
男釣る気満々的なビッチと同じくらい、『オンナのあざとさ』を感じる可愛いさ。
「な、良くねぇ?」
「……………合コン受け抜群って感じ?可愛すぎだし」
髪型も、前髪で隠れた顔も、地味なままなのに。
服だけが華やかで無駄に可愛くて、完全に浮いてしまっている。
着ることは着たけど、こういう服、やっぱあたしのキャラじゃない。
けど渚は自分の見立てに間違いはないとばかりのドヤ顔。
「やりすぎくらいで丁度いいんだよ。おまえは性格可愛くねえんだから、その分着るもので可愛げ補充しとかねえとバランス悪ぃだろ」
「ああ、なるほど。確かにね。……………ってあたしが言うとでも思う?こんな着てるもんだけ取って付けたようにブリブリしたってしょうがないでしょ」
あたしがにらんでやると、渚は笑い出す。
「………ニカがノリツッコミしてるし。服の所為?おもしろいもん見たわ」
そういって、あたしの頭を鬱陶しいくらいぽんぽん叩いてくる。
-----------学校にいたときはあんな不機嫌だったくせに。
白けた気分で渚のその顔を見てるうちに店員がやってきて。
「お似合いです」とか「色白でピンクがお似合いですね」とか明らかに思ってもないくせに買わせるためだけのお世辞を立て並べてきてめんどくさくなってきたので、お金を払ってとっとと退散することにした。


