「……うん」 ありがとう。わたしは嬉し涙で声に出来なくて、心の中で呟いた。 京が連れてきてくれたのは、個人経営のブティック。 いかにも高級そうな店構えに躊躇してると、京はわたしの背中を押して半ば強引に入店させられた。 中に足を踏み入れて、あまりの目映さに目が眩みそうになった。 個人店とはいえ、世界の名だたるブランドのスーツやドレスなんかが並んでて。 ブラウス一枚で数万なんて当たり前な世界。