そして、京は片手でハンドルを切りながら、左手でポンとわたしの頭に手のひらを載せチラッとわたしの顔を見た。
それは、穏やかな笑みで。
「男が女を抱くなら、ちゃんとしないとな」
ふわっと綺麗な優しさに満ちた笑みをわたしにくれた。
わたしはトクンと小さく胸が鳴る。
春を歓び唄う小鳥のように、桜色の幸せが心に満ちた。
その言葉はきっと真実だと、わたしは信じられる。
京は先生と生徒という垣根を自分から越え、わたしをちゃんとしたひとりの人間として扱ってくれたんだ。
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