だから――


わたしはせめて京がいい思いが出来るように、と持てる知識をフル活用しようと決意した。


けれど、それはあっさりと覆される。


「弥生……まさかおまえ……初めてか?
なら、こんな形でしない方がいいだろ」


繋がりを持つ直前、微かに困惑する京の声に躊躇いをみたわたしは、激しく首を振って彼の首にしがみついた。


「いいの! わたし……後悔しない。京だからいいの。京を感じたいの」


わたしは必死に懇願したけど、京はそれでもわたしから離れようとした。


「女の初めてなら、ちゃんとした恋人を作ってやってもらえ。
一生の思い出に残るなら、きちんとした手順で準備を踏んで愛してもらった方がいい」