わたしを捨てないで、離れていかないで、いなくならないで。
幼い子どもに戻った心持ちのわたしは、戯れの恋人ごっこに便乗してそう囁いてみた。
ただの演技で本気な訳じゃない。京だって解ってる。
だから。
「……一生……離さない」
そんなふうに返されて優しいキスをされて、勘違いしそうになるわたしも相当おめでたいかな。
「うん……」
わたしは自分からもキスを返して、京に笑ってみせた。
お願い……
擬似的でも偽りでもいいから、少しでもわたしを見て欲しい。
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