愛なんてない




翌日の土曜日、俺の運転するワゴン車で送別会の会場に向かった。


今日は看護師の佐々木さんのほか、ヘルパーさんにも手伝ってもらい弥生を簡易ベッドで運ぶ。





会場は最近公園として整備された河川敷。


緑豊かな植物園を併設した、市民憩いの場となっていた。


その中でひときわ目を引く薄紅色の花がすみ。




――ヒガンザクラ。




一般的なソメイヨシノより一足さきに咲く花盛りの下で、既に盛り上がった一行が見えた。

「あ~京、弥生ちゃん! いらっひゃい~」


既にろれつが怪しい里美が大袈裟に手を振ってきた。


解ってるっつうの。