制服を着込んでから、わたしは重大な事に気付いた。


カバンはどこに置いたっけ?


カバンのなかにケータイも財布も入ってる。いくら何でも置いていけない。


確か車から降りる時には手にしてたはず。


コタツのそば、バスルーム、台所、玄関。探してみたのに影も形もない。


どうして、と思う前に、どこからか聴き慣れた着信音が響いてきた。


わたしが一番気に入ってるアーティストのフレーズに引かれて歩くと、それは襖の向こう側から聴こえてた。


え、まさか相良先生がいる部屋にあるの?