愛なんてない







「おかあさん、おなかすいたあ」


あめ玉を舐めてご機嫌だった女の子が、またぐずりだした。


仕方ないか……。


一番は京に食べさせたかったけど、ちっちゃな子どもがお腹を空かせるのはよくないから。


「あの、シチュー作ったところなんですけど。よかったら」


わたしがそう言って台所に立つと、女の子は嬉しそうに騒いだ。


「やった! シチューだシチューだあ!」


「こら、きょうちゃん。ごめんなさい、夜分に遅く押しかけて騒がしい上に本当に図々しくて」


女性は心底恐縮してるみたいで。わたしに何度となく頭を下げた。