イヤだと思う権利もわたしにはない。 京と女性がどんな関係かわからない以上、失礼になることはできない。 「あ、はい。どうぞ」 わたしはスリッパがないか探したけど、やっぱりなかった。 とりあえず居間代わりの六畳間に通して、お茶を淹れようとあたふたした。 まだ京のアパートに慣れてないから、どこに何があるかわからない。 あちこちバタバタと開いてると、いきなり女性が立ち上がって台所にやって来た。 「急須と茶葉は……やっぱりここだわ。京ったら相変わらず来客が少ないのね」