わたしが見たどんな女性より端麗な容姿と整った造作。


泣いていた女の子を抱き上げてあやしていた女性は、わたしに気付いて軽く頭を下げた。


「夜分遅くに申し訳ありません。京はいらっしゃいますか?」


呼び捨て……。


わたしは自分の胸が尋常じゃないほどざわめき出すのを感じた。


「い、いえ。あいにくと外出してまして。もうすぐ帰ってくると思うんですが」


「そうですか」


女性は少しも考えずにわたしに頼んできた。


「あの、本当に図々しいのは分かってますが。なかでお待ちしてもいいでしょうか?」