京はわたしにカップを渡し、それを両手にしたわたしは廊下の端にある流しに向かった。 国語科準備室の時計では8時過ぎてたから、やっぱり暗くて誰もいない。 コツコツと空虚に反響する足音がなぜか怖くて、わたしはカップの汁を捨てて濯ぐとゴミ箱に放り投げて足音を潜め急いで戻った。 「京ッ……」 開きかけたドアを覗いて、わたしはハッと息を飲んだ。 京が……タバコを吸ってる。 初めて見た。 京は苛々を隠そうともせず、眉間に深い皺を刻んで大きく煙を吐き出した。