わたしは胸の痛みをわざと無視して俯き、おにぎりにパクついた。


ちょっと、しょっぱいなあ……。


涙なんか出さないの、わたし。


京にカノジョがいようがいまいが、関係ないって自分で言い聞かせたばかりじゃない。


京の気持ちがどこにあろうと……


葵さんを好きでいても。


わたしには……関係ない……。


ズキズキと痛む胸が苦しい。


吐く息に嗚咽が混じりそう。


我慢しなきゃ。


泣いたら変に思われる。


わたしはバクバクとおにぎりを口いっぱいに頬張った。