京はわたしの顎を引き寄せ、荒々しく唇を重ねた。 気持ちいい。 キスだけなのに。頭から、体から、溶けてゆく。 京が唇を離し、わたしに悲しみに満ちた目を向けてきた。 「……弥生……」 熱いキスとは裏腹に、その声音も沈み暗い。 とてもこれからわたしを抱く人の声とは思えなかった。