キョウガマッテル。 イカナクチャ。 わたしの意識の全ては京に捉えられていて、他に入る余地などない。 ふらふらっと覚束ない足取りでバス停から歩き出したら、路肩のコンクリートに躓いて車道側に倒れ込んだ。 それでもわたしは体を庇うこともせず、近づいてくる真新しいアスファルトをぼんやり眺めてた。 「危ない!!」 キキイッ、と不愉快なタイヤの擦れる音。誰かの叫びに怒鳴り声。 グイッと体が後ろに引っ張られ、トンと背中に硬い感触を感じた。