愛なんてない




なにが起きたのだろう?




反転した視界に映る景色を、わたしは呆然と見ていた。


わたしの部屋とは違う、クリーム色の天井。

部屋の灯りはシーリングライトじゃない、笠のあるペンダント照明。


カレンダーが掛かって……直ぐ隣にはよれよれの紺色スーツ。


あ、これ……相良先生のだ。


そんなことを呑気に考えていたわたしはどうにかしてる。


全てがあり得ない、この状況。


こんな深夜にわたしが家に居ないこと。


わたしが今居るのは、男性のアパートだってこと。


それも、独身男性の。


学校では天敵とも言える相良先生のアパート。


しかも、わたしは体にバスタオル一枚纏っただけで、相良先生に床に押し付けられてる。




降る雨が激しくなってきたのか、壁を打つ雨音がさっきよりも大きく耳に響く。


わたしは何も出来ず、相良先生に組敷かれたままただ天井を見上げてた。