そして、京はいきなりわたしの手首を掴むと、引きずるように歩きだした。 「は……離してください!」 わたしが喚こうとすると、ちょうどおばさんが靴を持ってこちらに駆け寄るのが見えた。 「弥生ちゃん、遅くなってごめんなさいね。なかなか見つからなくて。 あら、あなたは?」 おばさんがローファーを手に息を切らしながら、不思議そうな目を京に向ける。 そりゃあそうだ。今のあたしは京に引きずられた状態で両足を突っ張ってるんだから。不自然なことこの上ない。