「咲子、弥生は勉強してて疲れてるんだ。少しは大目に見たらどうだ?」


お兄ちゃんが注意をすると、咲子さんは少しだけ和らいだ表情になるけど。


「なんの勉強だか知れたものじゃないわ。昨晩もあの声で眠れなかったんだから! まだ16歳のクセに毎晩男を引きずり込んでなんて子かしら」


「おいおい、いくら俺が残業で遅いからって欲求不満か? なら、今晩は早く帰ってくるから久しぶりに……な?」


お兄ちゃんが甘く囁くと、咲子さんはポッと頬を染めて俯いた。