「久しぶりだからな、一番いい卵と米を使ったんだぞ」


お兄ちゃんはまるでわたしの声が聴こえてないみたいに見えた。


レンゲと小鉢を持ってわたしに近づいてくる。


「お兄ちゃん! わたし自分で……」


ちょっと苛立ってわたしは小鉢に手を伸ばすと、それはお兄ちゃんに遮られ、いきなり腕を掴まれた。


「お兄ちゃん……」


わたしは改めてお兄ちゃんの顔を見て、ゾクリと背筋が凍えた。


薄笑いをしたお兄ちゃんの瞳は、どろどろと粘着いた狂気と熱さを内包していたから。