でも、とわたしは思い出した。


お兄ちゃんがわたしのお世話をしてくれるのは嬉しいけど、今日のパーティーの主役はお兄ちゃんと咲子さんだ。

そのうちの1人があまり長いこと席を外す訳にはいかないよ。

お兄ちゃんのお世話になる会社の上司もいるんだから、失礼になっちゃうよね。


「お兄ちゃん、自分で食べるからいいよ。早くパーティーに戻らないといけないでしょう」


わたしはふた部屋向こうを気にしながら言うと、お兄ちゃんはなぜかそれに返事をしない。