愛なんてない




「あの……服を着たいだけなの。わたし変な格好してるから恥ずかしくて」


「そうか?」


お兄ちゃんはさほど関心がなさそうに、トレーをベッドの横にある勉強机に置いた。


「腹、減ったろ? 体調が悪いなら食えるだろ、って卵ガユを作った」


お兄ちゃんは慣れた手つきで土鍋から小鉢にお粥を移してる。


変わらない、な。


トレーには食べやすいようにオレンジの皮を剥いたものも用意してる。


お兄ちゃんはいつもこうやって体調が悪いわたしの世話をしてくれたんだっけ。