愛なんてない




パチッと照明が点いて暗がりに目が慣れたわたしには眩い。


目を細めながらドアを見れば、お兄ちゃんがトレーを持って後ろ手にカギを締めた。


お兄ちゃんが来てくれた!

わたしは強張った全身の固さが解けゆくのを感じ、小さく安堵の息を着いてみた。


お兄ちゃんがわたしの部屋に入れるなら、やっぱり事件の類じゃない。誰かの悪戯なんだ。


なら、お兄ちゃんに言って外してもらわないと。服も着られないなんて不自由過ぎる。


わたしはお兄ちゃんの問いかけに視線で答えた。