そう説明したわたしは、お兄ちゃんがあくまでも公平に話を聴いてくれると信じて疑わなかった。
……でも。
お兄ちゃんの様子がおかしい、と気付いた時にはもう遅かった。
「へえ、優しいんだ。あのオトコが?」
「うん。だから……わたしを心配しなくても……大丈夫だよ」
わたしはあくまでも相良先生が安全なのだと強調したかった。
「相良さんは本当に優しい人で思いやりがあるんだ。里美さんってカノジョだっているんだし、勘違いしなくていいよ。わたしを女の子なんて見てないから」
それはきっと本当の話だから、わたしはちょっと惨めな気持ちで言ってから口を噤んだ。
これで大丈夫だよね?
お兄ちゃんはいつもわたしの言うことだけは信じてくれたから。きっと今日も信じて丸く収まる。
そう思ったのに。
突然、視界がクルリと反転した。