今日バイト行けないな、とわたしが溜め息をついて昇降口を目指したのは9時近くだった。
わたしに用事があった部活の顧問の先生がいて、話をしてるうちにそんな時間になってしまったんだ。
しかも、悪いことは続くもの。
昇降口を出たわたしを待ってたのは土砂降りの雨。
「やだなぁ、最悪……」
仕方なくカバンを傘代わりにして校門まで一気に走る。
バス停が校門からすぐ近い場所にあるから、わたしはとにかくバス停目指し走った。
そして、着いたものの。バス停の時刻表を見て愕然とした。
最終バスの時刻が8時38分。今は8時53分だからもう遅い。
こうなれば、徒歩で20分掛かる最寄り駅まで歩くしかない。
こんな時は迎えに来てもらったけど、お兄ちゃんはきっと咲子さんを呼んでるだろうから、迷惑は掛けられない。
お兄ちゃんは幸せにならなきゃ。
わたしのためにいっぱい頑張っていっぱい我慢してきたんだから。
だから、今度はわたしが我慢しなきゃ。



