「望月の家族に挨拶する、と言っただろう? 何のためにギフトショップに寄ったと思うんだ」
相良先生はもうあの教師の顔でわたしに言った。
チクリと胸が痛むけど、それでいい。
これが終わったら相良先生は帰って、わたしとは無関係になるのだから。
「玄関先だけで……いいです。わたし……麻美の家に泊まったと言いますから。
相良先生も麻美のお兄ちゃんってことで、用事がてら送ってくれただけと言ってください。
服は麻美に借りたと言いますし。わ……わたしのわがままなのに相良先生が責任を持つ必要はないんです」
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