まさか……わたしだって気付かれないよね?


髪だってアップにしてヴイッグまで付けてるし、お化粧までしてる。


わたしだって分かるはずないよ。


ドキドキしながら新美くんの出方を待ってると、彼はにっこりと笑った。


人なつっこい暖かい笑顔。これにはいつもカレシ持ちの麻美も「ヤバい」と悶絶するぐらい破壊力があるらしい。


でも、今のわたしは自分の気持ち……お兄ちゃんや京へのいろんな感情でいっぱいで、魅了されたりしなかった。


「ねえ、キミ。どっか会った事ないかな?」