「それより、ちょっと顔上げてくれないかな」


「は、はい」


親切にしてもらった相手の言うことだから、とわたしは背筋を伸ばして顔を上げた。


すると。


ふわっとショールが肩に掛けられただけじゃなく、それをわたしが見た事もない結び方をしてくれた。


もしかしてデザイナーさんか何か? と思って顔を見たわたしはあっと驚いた。


すぐ目の前にいたのは、同じクラスの新美 瞬(にいみ しゅん)くんだったから。


学年で一番のイケメンと評判で、カノジョや取り巻きが絶えたのを見た事がないほどモテてる。