「ありがとう……京」 「ああ」 わたしがお礼を言っても京は素っ気なく返してくるだけ。 「京、周りの狼には気をつけなさいよ。あ、京自身がなっちゃうか」 お店から見送る里美さんの放った意味深な台詞を聴き、なぜか京は不機嫌そうに眉をしかめた。 そして京は駐車場の車の運転席に座ってもなぜかしばらく両手をハンドルに載せたまま。 ふう、と大きく息を着いて発車したのが何分経った頃だったか。 わたしはその間に何も言えず、後部座席で体を縮めて俯いてた。