愛なんてない







「え、そうお?」


里美さんは曖昧な笑みを返してわたしの髪を直してくれた。


「これ、わたしのケー番とメアド。京についてなにか知りたくなったら、遠慮なくわたしに電話してね」


「はい、ありがとうございます」


里美さんが渡してくれた名刺を手にしたわたしだけど、きっと掛ける機会は訪れないだろうなと思う。


里美さんともたぶんこれっきり。


里美さんがパールのネックレスを「イミテーションだけど」と言いながら付けてくれた。


「弥生ちゃん、これ気に入った?」