愛なんてない







「あら、それこそ誤解よ。今のところ京にカノジョはいないみたいだけど」


「え……」


里美さんの意外な話しを聴いたわたしは目を丸くした。


だって、それならあのアパートの清潔さと青いスエットの説明が付かない。


「今はいなくても……さ、最近まではいたんじゃないですか?」


ああ、なに言ってんだろう、あたし。


京にカノジョがいようがいまいが関係ないのに、どうしてこんなに気にするの?


しかも、過去の事までほじり返そうとして。


わたしに訊く権利なんてあるはずもないのに。