「あら、そうでもないみたいよ」 しばらく京の様子を見てた里美さんはひとり頷き、なぜか愉しげに言う。 そして、わたしの耳元に顔を寄せてある言葉を耳打ちした。 「……えっ」 わたしは自分の顔が赤らむのを感じた。 まさか……京に限ってそれはない。 だって、わたしは生徒で子どもなんだから……。 それに、とわたしはすぐさま里美さんに反論した。 「あり得ません。だって……京には……か、カノジョがいるじゃありませんか」 言っててなんだかちょっと寂しい。