律儀に高校の生徒って言わない方がいいよね?


「あの、弥生です。望月 弥生です……」


「え?」


わたしの名前を聴いた里美さんの顔色がサッと変わった。


「弥生……ちゃん?」


「はい?」


呼ばれたと思ったわたしは返事をしたけど、里美さんは青い顔のまま視線を落とし呟いた。


「……京は……まだ忘れてないのね……“あの事”を」


……?


里美さんが何を言ってるのか、わたしは全然わからない。


「あの、気分でも悪いんですか?」


わたしが気になって訊くと、里美さんは顔を上げた。