【駆琉side】
入学式とか、そんなのどーでもいい。
屋上の貯水タンクの上に寝っ転がってたら、泣き声で睡眠妨害された。
男なら確実に殴ってた。
けど顔を上げた女は、切なそうな目で俺を見詰めてきた。
意外と可愛いな、コイツ。
まぁ、実際こんな真面目っぽい女に興味はサラサラねぇし。
すぐに追い出した。
あの女と入れ違いで屋上のドアを開けたのは、小学生ん時から親友の夏川翼早(ナツカワ ツバサ)。
コイツがケンカで負けてるとこは見たことない。
そんぐらい強い。
「駆琉」
「翼早か。おせぇ」
「うっせぇな。昼間っから女とヤってるお前に言われたくねぇわ」
ヤってねぇし。
そう吐き捨てて、翼早は殴られて原型とどめてない顔の男を転がした。
うわ、えぐっ……。
「コイツがここのトップだって」
「何年?」
「3年」
2個も上か。
情けねぇな………。
もう十分、ボコられてるし俺がやる必要ねぇか。

