夏休みも終わりに差し掛かった8月後半。
夕方だろうと、ジリジリと肌を刺す太陽は健在。
冷蔵庫から水を出して水分補給していると、目が合った駆琉から急な一言。
「なんか……すげー海行きてぇ」
「はい!?もう夕方だよ〜?」
「行きたいんだから仕方ねーだろ。想乃、海行く」
「あたしも〜!?」
「一人で行くワケねぇ。あ、バイクの鍵取って」
行く気満々だし……。
仕方なくバイクの鍵を手渡して、あたしも一緒に家を出た。
留学するのに、この時期に風引いたらどうするのよ…。
いつもより長時間バイクに乗り、やって来たのは人も少ない海。
たまに犬の散歩をしてる人がいるくらい。
「海なんて久しぶりに来たかも…」
「そうだなー」
「あ、ちょっと…駆琉」
低い石造りの階段を降りると、砂浜が広がる。
砂浜に足跡をつけながら先を歩く背中を見て、少し寂しさに浸る。
「想乃。何してんの?」
「…ううん。なんでもないよ」
「あっそ。……ほら」
「へっ?」
照れ臭そうに差し出された左手。
こんな時に優しくされちゃ甘えるよ。

