7月になって夏が本格化してきた。
蒸し暑いのは嫌いで、うざったい。
溜まり場にいても、ナツやら洸やら慧がいて暑苦しいだけ。
「つーか、なんで俺まで道連れにされてんだよ…」
「良いじゃん。こっちのが涼しいし」
だから翼早を屋上に連れて来た。
貯水タンクの上に2人で登って、夏の日差しの眩しさに目を細める。
「…こんなとこに、わざわざ俺を連れて来るって……なんか話あんのか?」
「翼早って鋭いな…」
「普通は気付くわ!で?なんだよ?」
想乃を一人にしたくねぇ。
翼早を含むアイツらとも離れるなんて、ゴメンだ。
慣れない環境に飛び込むのは大嫌いだけど腹は決めた。
「翼早。俺、9月からアメリカ行くわ」
「………はぁ!?急だな、また…」
「親父と話し合った結果だ。想乃といてぇなら留学して、社長になれ…と」
「駆琉、社長の息子だもんな…」
一応、社長の一人息子なんで……。
跡取りは俺しかいないワケだ。
俺がやるしかない。

