【駆琉side】
親父が入院して、病室に俺と2人きりになったあの日。
想乃にも翼早にも言えてねぇ事がある。
今の俺には想像もつかねぇんだ………
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静かで真っ白の広い病室内に、親父の声が響いた。
「駆琉。お前もそろそろ行くか」
「は…?どこに?」
「アメリカ」
全然頭が追いつかねぇや……
なんで、いきなりアメリカ行かせられなきゃねーの!?
「果菜だって16歳の時留学しただろ?」
「俺は果菜と違う。留学なんてしねぇ」
「語学力はもちろん、次期社長として広い視野を身に付けてほしいんだけどな〜」
「留学とか急だろ…」
いつもの声色と笑顔で言われるから尚更だ。
悩む俺に、親父は更に追い打ちをかける。
「留学しないなら、駆琉の結婚相手は父さんが決める。…想乃ちゃん養うなら、男として腹決めろ」
一時の我慢と一生の我慢。
どっち選ぶか、って事?
そんなの決まってる………。

