猛獣な俺様の溺愛




暑さに耐え切れず涼みたくなった。


屋上でも行こうかな……。


なんて思い立ち、2時間目終了の休み時間に一人で屋上へ向かった。



久しぶりに来た………。



「いる、かな…?」


視線を貯水タンクに上げると、胡坐をかいてボーっとしてる張本人。


なんだか懐かしいアングル。


「駆琉!!」

「うわっ、びびった…想乃かよー…。いんなら言えよな」

「あはは〜!ごめん、ごめん」


出会ったばかりの時は、あたしがびっくりさせられてたんだから!



空を見詰めたまま、駆琉がそっと呟いた。


「もし俺が、想乃の側にいられなくなったらどーする?」


切ない質問に胸が痛んだ。


どうしたの、急に……。


何も言えなくて、あたしも駆琉と同じ方向を見て空を仰ぐ。


「わりぃ。そんな考え込ませるつもりで言ったんじゃねーから」

「冗談でもやめてよね〜」

「だよな。想乃は俺がいないと、泣き虫になるもんなー」

「バカにしないでよ〜!」



大丈夫だよね…?


隠し事とか…してないよね…。



駆琉はいつもあたしの側にいてくれるもん。