猛獣な俺様の溺愛




それからしばらく経ち、駆琉パパが無事に退院したと聞いた。


本当に良かった〜!!



「はぁー!!ヤバイ!すっげー暑い!」

「ねぇ〜…まだ夏入ったばっかなのに!」

「耐えられないー…」


7月に入ったばかりの初夏。


なのに、今年は暑さがヒドイ。


猛暑ってやつ!!


蒸し暑い授業中の教室内に耐え切れず、慧がダルそうに窓を開けた。


「夏の匂いがする……」

「想乃とおんなじ事、莉子も言ってた!夏の匂いって何?」

「ん〜……ふわ〜っとして、ぱっと弾ける感じの…匂い?」

「自分でも分かってないじゃーん!」


でも特有の匂いあるもん!!


ケラケラ笑う慧の明るい髪が、太陽に反射して眩しい………。



それにしても、この学校ってほんと受験生感がないよね…。


3年生の夏ったら、ピリピリムード全開でしょ?


さすが不良校。


慧もそうだけど、駆琉だって、この明るい髪色を戻そうなんてしない。