【想乃side】



授業が終わり教室を出ると、翼早が廊下に立ってた。


慧に用事かな?


「想乃。送ってく」

「へっ?駆琉は…?」

「アイツ忙しくて無理だって。だから代わりに俺」

「そうなんだ…。良いよ!大丈夫。一人で帰れるから」

「お前を一人で帰らせたら、俺ボコボコにされんだけど」


遠慮せずに送ってもらう事にした。



翼早のバイクの後ろに乗って、マンションまで帰る。


ただ、駆琉がいない理由ははぐらかされるんだ。


なんでだろ………。



不思議に思ってると夜7時過ぎ。


いきなり家の鍵が開いた。


「……駆琉!いきなりどうしたの〜?」

「想乃に会いたくなって」

「そ、そう…。入りなよっ!」


なんだか素直過ぎ!?


ほんとに駆琉だよね…?


ソファーに腰掛けた駆琉に、コップ一杯のリンゴジュースを出した。


「今、リンゴしかないの」

「いいよ、全然。つーか、それより…来いよ」

「やっ、ちょっと…駆琉…」

「ん?」


あたしを膝の上に乗せて、首筋に顔を埋めた。


本人は至って普段通りの顔付きなんだけど………