しばらく家族で話してると、申し訳なさそうに親父が言った。
「ちょいと駆琉と2人にしてくんねーか?」
「はいはい。じゃ、無理すんじゃないよー。仕事禁止な!」
「分かってるって〜!またなー」
素直に聞いた母ちゃんと果菜が病室を出て行った。
俺と親父だけの個室の静かな病室。
落ち着かない……。
「駆琉。お前に頼みがある」
「なに?」
「前々から言ってはいたけど……会社を継いでほしい」
「俺が?なんも出来ねぇよ」
「それで良い。これから、社長になるために勉強してもらうからな」
クスッと笑って俺に渡して来た数枚の紙。
コピーした感じか?
その紙をよく見ると、俺は今自分が立たされてる状況をすぐ理解した。
「どうだい?興味湧かないか?」
「一切湧かねぇな。ぜってー行かねー」
「ははっ!そんなこと言わないで!」
「無理だっつーの…!」
今の俺はまだ未熟で何も分からない。
だからこそ、色んなモノを見て吸収する必要がある。
でもこれは………
「親父…。考えさせて?」
「もちろん。好きなだけ悩めば良い」
悩みの種がまた増えた。