【駆琉side】



午前中は日差しが暑く感じる5月。


ずっと溜まり場にいても暇だから、たまに屋上に行ってみた。



初めて俺が想乃を見付けた場所。


泣いてるお前を守ってやろう、って思った。



久々に貯水タンクの上に登って少しの優越感。


意外と見晴らし良かったんだな、ここ。


授業中だから誰も屋上に入って来ないはずだ。


少し寝よっかな〜………。



–––––––ガチャッ!!


勢い良く屋上の重たいドアが開く音。


誰だ…?



「それでさ〜!俺、そいつとケンカしたんだ。結果?もち、俺の圧勝〜♪ケンカ強くてイケメンて……罪だよな〜!」


待って。


こんな良い感じの空気の時間帯に、すっげーヤツ入って来た!?


「俺ってカッコイイじゃん?高校入ってから逆ナンされるの悩みなんだわ〜…」


しかも一人で喋ってるし。


チラッと貯水タンクから下を覗くと、オレンジ色の目立つ髪したずっと喋ってる男がいた。


その隣にひっそり佇むようにいる黒髪の真面目そうな男。


見たことねぇけど、1年か。