いつも助けてくれるのは駆琉くんだ。


この前、ギャル集団に水浸しにされた時も彼が学ランを貸してくれた。


あの時は冷たい体が一気にポカポカになったんだよ。



そんな駆琉くんだけど、慰めの言葉は一切なくて……。


当たり前なんだけどね!


赤の他人を慰める資格はないもの。



貯水タンクから飛び降りた駆琉くんは、あたしの隣に来てフェンスに寄り掛かった。


背高い………。


「なんで死にたいの?」

「死にたいの、かな…。もう、自分でもよく分からないの。ただ…」

「ただ?」

「あたしは必要性ないってことは知ってる。だから、生きる意味が分からないのかも……」



ガシャッーー!!


フェンスに押さえ付けられたあたしの左腕。


背中はフェンスにくっついて、すぐ目の前には駆琉くん。


近過ぎるっ……。


「俺にお前は必要ねぇ。けど、気分わりぃから俺のために生きろ」

「へっ…?駆琉くんのため…」

「だから、俺に助けられたきゃ生きろ。いいな?」


真剣な眼差しに頷くことしか出来なかった。


すぐに背中を向けて屋上から出てってしまったから、その場に立ち尽くすことしか出来ない。


だけど………


もう、こんな感情を持つのはやめた。