だけど、まず最初に向かうのはこの高校を通り過ぎて10分程の距離にある5階建てのマンション。


あたしはここの3階に住む。


テレビと白のソファーが置かれた今日から住む新居。


寝室のドアを開けると、シングルベッドが置かれてる。


きっと、パパのせめてもの気遣いで家具を早めに置いてくれたんだね。


感謝しなきゃ。


キャリーバッグを置いて、向かったのは廃れた高校。



まだ入学式も出てないのに、辞めたくなってきた……。


ひっそりこっそりと、クラス表を確認して教室に行く。


1年2組。


席は自由らしいから、窓際の一番後ろ。


とにかく目立ちたくない…!


だから、教室にどんどん入って来るヤンキー達と目を合わせないようにずっと下を向いてた。


友達もいらない……。



「…ねぇ、隣座っていいー?」

「あ、はい。…どうぞ」

「やった〜♪アンタさ、名前なんてーの?」

「名前…?」


顔を上げて右隣の男の子にびっくり。


ふわっとした優しい茶髪に、人懐っこそうな笑顔。


おまけにカッコイイ……。