楽しそうに話してたコイツだけど、いきなり悲しそうな表情を見せた。


冷たい指先を俺の指に絡める。


「何があったの?駆琉…」

「なんでもねぇよ」

「ケンカでしょ?そんなの知ってるから教えてよ!」

「気にすんな。てか、泣きそうな顔すんなよ……」


背中にそっと腕を回して抱き寄せると、俺の胸にぎゅっと顔を押し付ける。


久しぶりに想乃に触れた。


ふんわり香るシャンプーの匂いが心地良い。


俺を安心させる。



「お願いだから……もう駆琉傷付いちゃダメ…!」

「努力はする。けど多分無理」

「だよね……。駆琉ならそう言うと思ったけど、やっぱ心配だな…」

「俺、想乃に愛されてんな」

「だって大好きだもん」


へらっと笑いながら、俺の傷付いた頬を手で包んだ。


想乃の手があったかい。


ゆっくりと近付いて来た想乃の顔。


アイツの背中に手を回すと、自然と重なり合った影。


「想乃からなんて珍し〜」

「ずっと、ちゅーしてないじゃん…」


可愛過ぎ。