そんな中で咏斗だけは様子が違った。
悔しそうに唇を噛み締めて顔を歪ませる。
「咏斗…?」
「想乃さん……俺…」
「どうしたの?」
「ほんとに…すいませんでした。俺が…俺が側にいれば…」
「咏斗。それは責任感じ過ぎだって言ってるじゃん」
あたしに頭を下げる咏斗を慧が止めた。
なんで謝るの…?
「俺…なんか嫌な予感したんです。ここ最近、他校静かだし…駆琉さん危ないな、って」
「確かに…。最近は駆琉ケガしてなかったもん…」
「今日俺が駆琉さんと行動してれば、こんな事回避出来たはずなのに…」
「それは咏斗悪くないよ!…こんな事って?」
まずは、なんで駆琉がこんなに傷だらけになってるか。
その理由が知りたいもん。
だって、駆琉ケンカ強いのに………。
「僕の推測なんだけどねっ?」
「洸の推測……」
「うん。多分、他校のヤツら多人数に1人を狙われてボコボコにされたんだと思う」
「そう考えたら、ほんっと卑怯だよね…。カケルンも逃げれば良かったのに」
逃げるのは、きっと駆琉の性に合わないんだよね。

